地上設置型フートバルブ*とは
従来、広く利用されてきた末端フートバルブは受水槽などの水中に設置されます。そのために次のような問題が生じていました。
・メンテナンスを行うには水中から引き上げなければならず、時間や費用、労力がかかる。また、引き上げ作業には危険を伴うこともある。
・常に水中にあるために腐食しやすく、全体がさび付いて動かなくなり、落水が起きる可能性がある。
・落水が発生すると復旧に時間と手間がかかることから、必要ない時も常にポンプを動かし続けるケースも多く、水道代と電気代の負担が大きい。
・水中にあると直接見えないために、腐食などのトラブルが発生していても発見が遅れる。予期しない落水により、長時間の工場ライン停止や、就業時間外の作業を余儀なくされることもある。
これらの問題を解決するのが「地上設置型フートバルブ」です。水中にあるのが当たり前であったフートバルブを地上に移すという発想の転換と構造の工夫により、メンテナンスの不満をすべて解消しました。
地上設置型フートバルブには次のような特長があります。
・地上に設置されているため本体にすぐ手が届き、メンテナンスにかかる時間や費用、労力を大幅に軽減できる。
・腐食による落水が発生しない。
・スプリングとパッキンによって止水力を高め、落水を強力に防止する。落水を防ぐための無駄なポンプ稼働をなくすことができ、ランニングコストを大幅に低減できる。
・配管からの取り外しも簡単、取り外しせずに作業ができるタイプもある。構造もシンプルで、簡単なトラブルなら自社でのメンテナンス作業も可能。
「スモレンスキ・グランドフートバルブSG」が優れている理由
フートバルブのメンテナンスに関する不満を解消した地上設置型フートバルブ。中でも「スモレンスキ・グランドフートバルブSG」は、他の追随を許さない優れた性能を持っています。その特長を以下にまとめました。
(1)スプリングとパッキンのダブル止水力で落水・漏水しない
リフト式チャッキバルブと同様に、内蔵したスプリングの力で止水する方式ですが、設計が根本的に異なります。図のように弁体が流路を塞がない構造で、吸い込み抵抗を減らすため反発力が弱めのスプリングを用いています。それに伴い、弱い力でも止水できるよう、パッキンの素材に高性能なフッ素ゴム(FKM)を採用しています。
スプリングとパッキンでしっかり止水し、一度吸い上げると基本的に空気が入り込むことがないため、長期間にわたって落水しません。これは、液体を吸い込んだストローの上部を指で塞ぐと、液体が流れ落ちずにそのまま保持される現象と同じ原理に基づいています。液体で満たされた管内の気圧は大気圧よりも低いことから、大気圧に押されて液体が管内に留まるのです。落水の心配がなく、必要のない時はポンプを停止できるようになることで、水道代と電気代の大幅な削減も可能です。異物などが挟まると落水することもありますが、その際は図の減圧口から真空ポンプでバルブ一次側(吸い込み側)の空気を抜きながら吸い上げることで、簡単に復旧(呼び水)することができます。
(2)圧倒的な低損失
弁体が流路を塞がない構造のために流体が流れやすく、さらに、斜めに角度をつけたこれまでにない構造の止水弁を開発したことにより、従来のフートバルブよりも大幅に抵抗損失を削減しました。抵抗値がフートバルブと同等以下であることから、これまで従来のフートバルブを使用してきた現場のすべてで置き換えが可能です。低抵抗であるためにポンプの能力を最大限に発揮でき、省エネルギー化や設備の長寿命化にも貢献します。
(3)工具レスで、迅速かつ容易なメンテナンスを実現
工具を使わずボルトを緩めるだけで着脱できるクランプを採用。アングル型でクランプを外せば弁体も簡単に取り外すことができ、メンテナンスが短時間で容易にできます。万一の落水でも、復旧作業が短時間、少人数ですみ、生産性を落としません。また、弁体をはじめパッキンやスプリングなどの各部品の交換も簡単です。金属部分はすべてステンレス製で部品の長寿命化を実現しているため、メンテナンスコストも削減できます。
(4)配管内の状況を目視で把握できる
減圧口に真空計を設置すれば、バルブ一次側(吸い込み側)の配管内の状況を目視で確認、管理できます。
消防防災用設備機器性能評定を取得した「フートバルブSG-F消防評定仕様」
火災をはじめとする災害は、いつ起きるかわからないだけでなく、私たちの生命や財産を脅かし、大きな被害をもたらす可能性もあります。このような緊急かつ重大な事態に対応するため、警報、消火、避難、救助などにかかわるさまざまな消防防災設備が用いられていますが、もしそれらに性能や信頼性の不足などの不備があれば、被害が拡大してしまうおそれもあります。そのため、消防法や消防庁通知によって満たすべき性能の基準が定められ、一般財団法人日本消防設備安全センターにより、個々の消防防災設備が定められた基準に適合しているかどうかの評定が行われています。株式会社イシザキでは、消防防災用途の基準を満たす地上設置型フートバルブを開発し、この「消防防災用設備機器性能評定」を取得しました。それが、「スモレンスキ・フートバルブSG-F消防評定仕様」です。
●デジタル表示センサーで圧力を常に監視
スモレンスキ・フートバルブSG-F消防評定仕様には、スモレンスキ・グランドフートバルブSGの高い基本性能に、センサーにより配管内の圧力を常に監視できる機能を加えました。視認性の高いデジタル表示センサーにより点検時の確認もしやすく、万一、落水が起きても異常を検知しアラートを発報する仕組みです。
●信頼性が評価され採用が急増中
落水が発生せず、抵抗損失が少なく、メンテナンスが容易、なおかつ常に状態の監視が可能なことから、2016年12月の発売開始以来、採用されるお客様が急増しています。2020年11月現在、158市区町村に導入され、都道府県導入率は78.7%に達しています。
まとめ
フートバルブの常識を覆した「スモレンスキ・グランドフートバルブSG」は、消防防災用設備機器性能評定を獲得した高機能バーションを加え、さらに多くの現場で、従来のフートバルブの不満・不安の解消を実現しています。フートバルブのメンテナンスに悩まれたら、株式会社イシザキにぜひご相談ください。
※製品についての詳細は以下をご参照ください。
▼スモレンスキ・グランドフートバルブ
http://www.ishizaki.biz/s_03.html
▼スモレンスキ・フートバルブSG-F 消防評定仕様
https://www.ishizaki.biz/s_18.html
▼カタログ・ダウンロード
https://ishizaki.biz/catalog/index.html
*地上設置型フートバルブは、「地上型フートバルブ」、「地上型フート弁」、「アングルチャッキ弁」といった名称で呼ばれることがあります。業界で初めて地上への設置を可能にしたフートバルブ(フート弁)が、スモレンスキ グランドフートバルブです。