バルブが故障する原因・症状・対処法①:ウォーターハンマ
チャッキバルブに関連するトラブルの代表がウォーターハンマ(水撃)です。配管内の圧力が急激に上昇もしくは低下することによって発生する現象で、原因の違いから2つのパターンに分類されます。
1つは、バルブを閉めた時やポンプを停止した時、流体の運動エネルギーが急停止によって圧力のエネルギーに変換され、配管内の圧力が急上昇して衝撃音と振動が発生するパターン。もう1つは、ポンプを停止した時、流体が慣性の法則で下流に流れようとすることで配管内の圧力が低下して流れが途切れる「水柱分離」が起き、途切れたところへ周囲の流体が集まり再結合する際に、衝撃音と振動が発生するパターンです。
チャッキバルブに起因するウォーターハンマは前者です。
【症状】
ポンプ停止時やバルブ閉鎖時に、配管で衝撃音や振動が発生します。発生箇所がチャッキバルブ付近である場合、バルブに起因するウォーターハンマであると考えられます。
【原因】
スイング式チャッキバルブやボールチャッキバルブは、ポンプ停止後、逆流作用により弁体が急激に閉鎖される構造となっています。そのため、揚程(ポンプが流体を吸い上げる高さ)が高い配管などでは、逆流の圧力が強く、ウォーターハンマが発生しやすくなります。
ウエハーチャッキや急閉鎖型リフト式チャッキバルブのように、スプリングの力で弁体を閉じる構造のチャッキバルブでは、基本的にウォーターハンマは発生しません。もしそれらのチャッキバルブでウォーターハンマが発生している場合は動作不良の可能性があります。弁体の固着、ウエハーチャッキのねじりコイルスプリングの破損、ヒンジピンの破損や変形などが考えられ、取り外して原因を調べる必要があります。根本的な対処を行わずバルブを交換しただけでは、再発する可能性もあります。
【対処法】
スイング式チャッキバルブ、ボールチャッキバルブは構造的にウォーターハンマが発生してしまうため、チャッキバルブ自体を他のタイプに交換することが最も効果的な対処法です。バルブを交換したくない場合は、ウォーターハンマ防止器(水撃防止器)の設置、ポンプをインバータポンプに変更する、電動弁の設置などの対策が考えられますが、いずれもメリットとデメリットがあります。
◯バルブ交換以外の対処法のメリットとデメリット
・ウォーターハンマ防止器:配管の途中に取り付け圧力上昇や減圧を吸収する装置。効果はあるが設置スペースと設置後のメンテナンスが必要。
・インバータポンプのへの変更:インバータを使用してポンプの停止時にはモーターを徐々に減速、始動時には徐々に加速することにより、急激な圧力変動を防ぐことができる。交換にはコストと手間がかかる。
・電動弁を設置:チャッキバルブに加え、電動で弁体をゆっくり閉める電動弁も設置することで急激な圧力変動を防止する。電動弁を設置するコストとスペース、停電時の対策が必要となる。
いずれの対策も有効ではあるものの、コストや手間がかかるなどの課題があります。株式会社イシザキの「スモレンスキ・チャッキバルブ」はポンプ停止時に内蔵されたスプリングの力で弁体をすばやく閉じる構造のため、配管内の圧力上昇が起きずウォーターハンマが発生しません。(現在、需要が僅少なため廃番です)最も安価なウォーターハンマ対処法としておすすめできます。
※製品についての詳細は以下をご参照ください。
▼スモレンスキ・チャッキバルブ 製品一覧
https://ishizaki.biz/stock.html
バルブが故障する原因・症状・対処法②:チャッキバルブの漏れで配管内圧力が低下
スイング式チャッキバルブは、構造的に漏水が発生しやすいという特性があります。漏水が発生すると配管内の圧力が低下し、さまざまな問題を招きます。例えば、二次側の配管内圧力を一定に維持しなければならないラインなどでは、ポンプが頻繁に稼動することになり、コスト増や設備の消耗を招きます。薬液などタンクへの逆流が厳禁となっているラインではスイング式チャッキバルブを採用することはできません。また、ポンプやフートバルブに必要以上の圧力がかかり破損する原因にもなります。
【症状】
目に見える場所で起きている漏水はわかりやすく、日々の点検ですぐに発見できると思います。ただ、配管に複数のバルブがある場合には、それぞれのバルブを閉めて検証し、原因となっているバルブを特定する必要があるでしょう。見えないところで漏水、落水が起きている場合には、配管内の圧力低下や、使用していないのにポンプが動いている、以前より頻繁にポンプが稼働しているといった現象が見られると、漏水の発生が疑われます。
【原因①】スイング式チャッキバルブの構造による止水不良
スイング式チャッキバルブは、弁体と弁座の金属同士が接して止水する構造で、弁体を押さえる力は、垂直配管への縦設置では弁体の自重と背圧、水平配管への横設置では背圧のみとなっています。そのため止水性が低く、漏水しやすいという特性があります。パッキンによって弁体と弁座を密着させ止水性を高めることは可能ですが、JIS規格でも一定量の漏水が許容されていることから、JIS規格製品でも弁体にシートパッキンが装備されていないものが多く、少量ながら漏水が発生します。
【原因②】バルブの構造と設置箇所に起因する動作不良
スイング式チャッキバルブやウエハーチャッキバルブは、ヒンジを支点に弁体が開く構造となっているため、ヒンジピンへの負荷が大きくなりがちです。特に、ポンプの吐出口やエルボ付近などの乱流が生じる場所の近くにバルブを設置すると、弁体にさまざまな方向から力がかかることになり、ヒンジピンへの負荷が増大します。それによってヒンジが変形してしまうと、弁体が開かない、閉じないといった動作不良が起き、漏水につながります。
【対処法】
1つめの原因「スイング式チャッキバルブの構造による止水不良」は、バルブそのものを交換しなければ根本的には解決できません。また2つめの「バルブの構造と設置箇所に起因する動作不良」は、バルブの設置場所をポンプの吐出口やエルボ付近から充分に離すことで対処できますが、設備スペースの都合で離すことができない場合には、バルブそのものを交換する必要があります。
株式会社イシザキの「スモレンスキ・チャッキバルブ」は、ヒンジのない構造のため乱流などによる変形の心配がありません。弁体をスプリングの力で押さえるとともに、シート状のゴムパッキンでしっかり止水するため、水平配管でも漏水を起こしません。
※製品についての詳細は以下をご参照ください。
▼スモレンスキ・チャッキバルブ 製品一覧
https://ishizaki.biz/stock.html
まとめ
バルブのトラブルや故障では、ここでご紹介したウォーターハンマや漏水のほか、流体による腐食なども挙げられます。いずれの場合でも、生産性の低下や大きな事故を招く前に根本的な対策を打つことが大切です。株式会社イシザキのバルブ製品は、ウォーターハンマや漏水などのよくあるトラブルや故障を防ぐ設計となっており、それらの根本的な対応策として、これまで多くの実績を上げてきました。万一、当社製品でトラブル・故障が発生した場合でも、「なんでも相談ダイヤル」までお電話をいただければ、すぐにメンテナンスのご相談に応じます。
【なんでも相談ダイヤル】
0120-1439-50
スモレンスキ お問い合わせ
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