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バルブを学ぶ

バルブの点検・メンテナンス(整備)の重要性

どのような機器・設備でもメンテナンスは欠かせませんが、設備の中で重要な役割を担い、過酷な環境で使用されることも多いバルブは、こまめに状態をチェックして適切なケアを行い、故障を防ぐことが大切です。少しでも長く快適にバルブをお使いいただくために、点検・メンテナンスのポイントをご紹介します。

点検・メンテナンスを怠ることで高まるリスク

 バルブにはたくさんの種類があり、さまざまな用途で使用されています。本シリーズの「バルブとは何か―その役割、種類と構造」でも解説したように、バルブとは、「流体を流したり、止めたり、制御したりするため、流路を開閉することができる可動機構をもつ機器の総称」です。流体には常温の水だけでなく、油や薬品、アルコール、さらには高温の水や水蒸気、ガスなどもあり、部品に大きな負荷がかかる厳しい環境で使用されているバルブも少なくありません。
そうしたバルブはもちろん、通常の環境で使用されているバルブでも、日常的・定期的な点検と適切なタイミングでのメンテナンスが欠かせません。もしそれらを怠ってしまうと、次のようなリスクが高まります。

●生産性の低下
 外観や動作音に目立った変化はなくても、バルブの内部では錆やスケール(水に含まれる無機塩類が析出、付着したもの)の発生、流体の残留物の堆積などが進行し、重要な役割である開閉機能が損なわれることがあります。それによって流量の調節ができなくなり無駄が発生するおそれや、バルブ操作に手間取ることで生産性が低下するおそれがあります。さらに、固着などでラインが停止する事態に陥れば、生産の遅れによる損害も発生してしまいます。

●安全性の低下
 外観からはわからない劣化により内部が破損すると、ポンプの故障などの事故につながるおそれがあります。例えば、パッキンが劣化して止水性能が低下すると、水漏れ、蒸気漏れといった、作業者のケガや他の設備の破損につながるインシデントを引き起こす可能性もあります。水道用バルブ内部の錆は水質低下を招き、劣化による故障が発生すると断水が起きるなど、利用者のQoL(生活の質)を低下させることになります。
また、もし防火用の地下貯水槽においてバルブの固着による落水が起きれば、いざというとき、すぐに防火用水が使えないという事態にもなりかねません。

●コスト負担の増大
 日常的な点検、定期的な分解清掃や消耗品の交換であれば多くの費用はかかりませんが、それらを怠った結果、バルブ、さらにはポンプまで破損して交換が必要になると修繕費用は増大します。バルブに起因したトラブルは、多くの場合、突然発生するものです。計画にないラインの停止による経済的損失も無視できません。

バルブの日常点検・メンテナンスのポイント

 小さなバルブ1つの故障でも、設備全体の運用にかかわる大きなトラブルにつながる可能性があります。突発的な故障で困らないためにも、普段からこまめにバルブの点検を行い、できる範囲でメンテナンスを実施しておくことが重要です。点検には、毎日、決められた時間に巡回し、目視や簡易測定器で異常がないか確認する日常点検と、あらかじめ実施間隔を決めて行う定期点検があり、それらの結果を受けて定期・臨時のメンテナンス、修理を行います。故障の兆候をつかんで適切なメンテナンスを実施し、大きなトラブルを回避するには日常点検が重要です。では、その際にはどんなところを見ればよいのでしょうか。確認すべきポイントを以下にまとめます。

●流体の外部漏れ
 フランジ接続部分やバルブ本体から外部への流体の漏れがないか確認します。液体の漏れについては基本的に目視で、気体の漏れについては発砲によって検出する検査剤(検出剤、テスター)を用います。また、蒸気・空気・ガスなどの漏れに伴って発生する超音波を感知する検出器を用いる方法もあります。

●異音・振動・熱
 バルブ内部の漏れや軸の歪みなどが発生すると、普段と異なる音や振動、平均値を超える温度などの異常として現れます。運転中、閉鎖時、バルブの開閉時などに音を聞き、異音がないか、また触診によって異常な振動や熱がないか確認します。特に周囲の騒音が大きい現場では触診が有効であるほか、超音波による振動測定と温度測定を同時に行う簡易測定器(チェッカー)を活用する方法もあります。

●自動バルブ(自動弁)の電気系統・駆動機構
 開閉や流量調整に人手を介さないバルブを自動バルブ(自動弁)と呼び、精密な流量調節が必要なラインでは、システムからの信号を受けてアクチュエータで流量を自動的に調節する調節弁(コントロールバルブ)が用いられます。また、手動ではなく電磁的に開閉を行う電磁弁も自動バルブの一種です。これらのバルブは電気信号で動作し、電源を必要とする電気製品であるため、電気系統や駆動機構の点検が必要です。
アクチュエータの動力源には空気圧、油圧、電力がありますが、自動バルブに多く用いられている空気圧アクチュエータではピストンパッキンなどに空気漏れがないか点検します。また手動のバルブよりも構造が複雑なため、潤滑油量のチェック、モーターの絶縁抵抗の測定、断線の有無、開閉操作系統の確認など、確認すべきポイントも多くなります。電気製品であることから水の浸入を防ぐことも重要であり、ボルトをはじめとする各部の腐食を目視で確認します。

【異常を見つけたら早めにメンテナンスを】
 日常点検・定期点検で異常が見つかったら放置せず、分解して原因を調べます。清掃やパッキンなどの消耗部品の交換で解決する場合も多いでしょう。分解が困難な場合、原因が特定できない場合などは、メーカーや専門業者に相談してください。

工具レスで簡単! スモレンスキ・グランドフートバルブのメンテナンス方法

 点検で異常を見つけても、取り外しや分解が難しかったり手間がかかったりするバルブだと、メンテナンスが後回しになり症状が進行してしまうこともあります。株式会社イシザキの地上設置型フートバルブ「スモレンスキ・グランドフートバルブ」は、地上設置であり、かつ、配管に取りつけたまま工具を使わず簡単にメンテナンスできます。その手順を簡単にご紹介しましょう。

バルブを学ぶ6

(1)クランプを外す。
(2)上部のガイドキャップ、へルールパッキンを取り外す。
(3)スプリング、弁体・弁棒を取り出す。
(4)弁体・弁棒を確認する。シートパッキン・弁体・弁棒に傷がないか、異物の噛み込みや噛み込み痕がないかを確認し、必要に応じて清掃や部品交換をする。
(5)弁体の向きに注意しながら、取り外したのと逆の順番で戻す。
(6)上部ガイドをしっかりはめ、クランプを取り付ければ完了。

※詳しくはHPでご紹介している動画をご参照ください。
https://ishizaki.biz/s_03.html

まとめ

 流体の制御に欠かせないバルブは、設備・ラインの要とも言える重要な役割を担う製品です。バルブの点検・メンテナンスをきちんと行うことは、設備全体の安全・安定稼働につながり、生産性の向上に寄与します。ただ、従来のバルブにはメンテナンス性を考慮されていないものも多く、そもそも水中に設置されていてメンテナンスがしづらいものや、不具合が起きたときの緊急メンテナンスにも手間がかかるものが見られます。
 株式会社イシザキの地上設置型フートバルブなら、地上で、しかも配管から取り外すことなく点検・清掃などのメンテナンスができるため、安全性に優れ、メンテナンスにかかるコストと手間も大きく削減できます。「一度不具合が生じるとメンテナンスが大変」「今のバルブではメンテの時間もコストもかかって無駄が多い」など、バルブに関するお悩みがありましたら、株式会社イシザキの「なんでも相談ダイヤル」までお気軽にお電話ください。専門のスタッフが対応いたします。

【なんでも相談ダイヤル】
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