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  2. ISHIZAKI バルブ解説記事 No.08 バルブと流体の深い関係

バルブを学ぶ

バルブと流体の深い関係――代表的な流体7種とそれぞれに最適なバルブの選び方

 さまざまな設備やラインで流体の流れを制御する役割を担うバルブ。流体には多くの種類があり、それぞれ異なる特性を持つため、バルブの選定ではどのような流体を扱うのかを考慮することが重要です。ここでは、よく扱われる代表的な流体7種と、それぞれに最適なバルブの選び方をご紹介します。

バルブの選定における「流体」の重要性

 
 バルブとバルブによって制御される流体は密接な関係にあり、「何を流すのか」はバルブの選定において必ず考慮すべきポイントの1つと言えます。流体には、主に液体と気体、それらが混ざった気液混合流体があり、それぞれ「種類」、「温度」、「圧力」によって性質やふるまいが大きく異なります。バルブの故障を防ぎ、安全に長く使用するためには、扱う流体の条件に応じて最適なバルブを選ぶことが重要です。流体にはさまざまな種類がありますが、ここではその中でも産業分野で扱われることが多い7種類を取り上げ、それぞれに適したバルブの選び方を解説します。

代表的な流体①:飲料(清涼飲料水)・飲料水

 
 炭酸飲料、果実・野菜ジュース、豆乳、ミネラルウォーターなどの飲料(清涼飲料水)、また水道水や飲用井戸水などの飲料水には、食品衛生法で定められた成分・微生物・有害物質などの規格基準があります。そのため、飲料製造ラインや飲料水給水設備には、有害物質を含まない/有害物質が溶け出さないなど食品衛生法の基準を満たす仕様が求められ、その中で使用されるバルブも本体やパッキンなどの材質に注意しなければなりません。
 バルブ本体の素材としては、鋳鉄の内外面にナイロン樹脂をコーティング(ライニング)加工したものやステンレスが、弁体の素材はステンレスが最適です。シートパッキンの素材は、耐油性・耐熱性・耐摩耗性などに優れ、シール材などによく用いられるニトリルゴム(NBR)が適合します。
 株式会社イシザキでは、ナイロンライニングバルブ、ステンレス製バルブなど、飲料・飲料水を扱うラインに適合したさまざまなタイプのバルブをご提供しています。


ナイロンライニング・チャッキバルブ

代表的な流体②:高温水

 
 高温水を扱う設備・ラインでは、高温に耐えうる材質を選択することが重要です。本体は鋳鉄・ダクタイル鋳鉄・鋳鋼・ステンレス・青銅などの金属であれば耐熱性はクリアできますが、シートパッキンの素材がポイントになります。耐熱限界温度の目安はニトリルゴム(NBR)が120℃、フッ素ゴム(FKM)は230℃、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は260℃程度とされており、これらのパッキンであればおおむね高温水の熱にも耐えられます。ただし薬液を混ぜた高温水の場合は、耐薬品性にも優れたPTFE製のシートパッキンや、ステンレス製弁体が推奨されます。
 株式会社イシザキのお客様事例では、90℃の高温水にスケール付着や腐食を防止する薬剤として水酸化ナトリウムを混入していたラインにおいて、NBRのシートパッキンが溶解するトラブルがありました。パッキンの素材をPTFEへ変更することで解決しています。


薬液を混ぜた90℃の高温水で腐食したシートパッキン

代表的な流体③:海水

 
 海水は3%程度の塩分を含むため電気を通しやすく、酸化還元反応による金属のイオン化を促進する性質をもちます。金属の表面がイオン化すると腐食が進み、弁体などの部品が損傷してしまいます。金属の種類によってイオン化傾向が高く腐食しやすいもの、しにくいものがありますが、株式会社イシザキのお客様事例では、海水を水槽に送るラインで使用していた青銅と黄銅(真鍮)材のバルブ内部に腐食が生じました。
 銅(Cu)とスズ(Sn)の合金である青銅、銅と亜鉛(Zn)の合金である黄銅は、スズと亜鉛のイオン化傾向が高いことから腐食が進みやすいと考えられます。海水を扱う設備・ラインでは、ステンレスなど腐食に強い素材を選ぶことがバルブを長持ちさせるポイントです。
 株式会社イシザキのスモレンスキ・チャッキバルブ/フートバルブでは、海水でも錆びにくい特殊ステンレス製(二相ステンレス)をご用意しています。また、ご予算に応じて、銅合金素材にナイロンライニングを施し、耐食性を高める加工にも対応しています。


海水で腐食が発生したバルブ内部

代表的な流体④:薬液

 
 薬液を扱う設備・ラインのバルブでは、耐食性の高い素材を選択することが第一に求められるため、小型バルブでは全体あるいは薬液に接する部品が樹脂製のタイプが主に選択されています。中~大型のバルブでは耐食性の高い金属の本体に樹脂製の弁体を組み合わせたタイプや、シートパッキンに耐薬品性の素材が採用されています。
 シートパッキンの素材はさまざまで、また薬液も多様性に富むことから、それぞれの特性や適合性を考慮して最適なものを選択することがポイントです。株式会社イシザキのお客様事例では、ニトリルゴム(NBR)製のシートパッキンが薬液(シクロヘキサノン)と反応し、膨張、破損したことから、適合するエチレンプロピレンゴム(EPDM)を採用したことで解決したケースがありました。
 NBRは耐老化性、耐摩耗性、耐油性に優れた素材である一方、EPDMは耐薬品性のほか耐老化性、耐摩耗性にも優れた素材です。株式会社イシザキでは、これらのほかにもフッ素ゴム(FKM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのシートパッキンを扱っており、さまざまなラインに対応しています。
※毒性、爆発性、引火性等の危険性のある流体を扱う際は使用者の責任においてご使用ください


流体にシクロヘキサノンを流すラインで膨張、破損したパッキン

代表的なバルブの流体⑤:純水

 
 精密機器やハイテク製品の製造工場などでは、洗浄工程で純水・超純水を大量に使用します。純水・超純水は不純物をほとんど含まないものでなければならないため、それらを扱うラインでは、他のラインからの混入、逆流、漏水、設備そのものからの異物混入を防ぐことが品質管理の要となります。そのため、純水を扱うラインで使用するチャッキバルブは、本体やシートパッキンの材質、バイパス弁の有無、脱脂処理/完全禁油処理など、現場によってさまざまな要素に対応できるものを選択することが大切です。
 株式会社イシザキのチャッキバルブでは、本体の材質はステンレス系鋳鋼SCS13のほかSCS14やSCS16にも対応し、シートパッキンの素材は純水ラインで多く採用されているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のほか、フッ素ゴム(FKM/FPM)やエチレンプロピレンゴム(EPDM)が選択できます。油分の含有レベルについても洗浄方式を変えて対応しており、純水・超純水ラインのさまざまなご要望にお応えしています。

代表的な流体⑥:雑排水

 
 雑排水は、汚水(トイレの排水)と雨水を含まない生活排水全般を指し、あらゆる施設において発生します。ビルなどの大型施設では汚水、雑排水、雨水や湧水などを公共下水道に排出する前に一時的に貯留する排水槽が地下に設けられ、そこから排水、送水するラインにおいてポンプやバルブが使用されています。雑排水、雨水や湧水などには、小さなゴミや、泥、砂などの異物が含まれていることから、それらが詰まりにくく、もし詰まっても簡単にメンテナンスできるバルブを選定することが重要です。
 株式会社イシザキのスモレンスキ・チャッキバルブは、配管の角に設置するアングル型もご用意しております。配管から外さずにメンテナンスができ、流路に障害物がなく詰まりにくい構造のため、汚水・雑排水向けに推奨されます。

代表的な流体⑦:温泉水

 
 温泉は「温泉法」という法律により、採取時の温度が25℃以上、またはリチウムイオン、鉄イオン、第一マンガンイオン、水素イオン、硫黄、メタホウ酸、重炭酸ソーダなど19種類の物質のうちいずれか1つ以上を一定濃度以上含む湧水、水蒸気、天然ガス以外のガスと定義されています。したがって、温泉水には水道水などには含まれない物質を含有している可能性が高く、温泉水を扱う設備・ラインでは、泉質に応じて、化学反応による腐食を念頭に置いたバルブを選ぶことが重要です。
 株式会社イシザキのお客様事例では、塩分の濃いナトリウム泉を扱うラインで、亜鉛を含む黄銅(真鍮)製のバルブに脱亜鉛腐食が発生し、生成した亜鉛化合物の弁棒への付着が見られました。脱亜鉛腐食は水道水でも塩素含有量が多いと発生することがあり、注意が必要です。
 この事例では、内部部品にステンレスと高耐食性特殊黄銅材を使用し、脱亜鉛腐食が起こりにくいバルブへと変更しました。温泉水にはさまざまな物質が含まれている可能性があるため、腐食が起きにくい素材の選定には専門知識を要します。泉質に応じた最適な素材についてはお問い合わせください。


塩分の濃い温泉水により腐食生成物が付着した弁棒

まとめ

 
 バルブの中を流れる「流体」には多くの種類があり、それぞれの成分とバルブの素材の耐久性は深く関係しているため、バルブ選びには注意が必要です。最適なバルブを選定することは、腐食や故障を防ぎ、メンテナンスの手間の軽減、バルブ自体の長寿命化につながります。
 株式会社イシザキは、さまざまな現場でバルブの故障やトラブルを解決する中で、バルブ選びに関する豊富な経験と実績を蓄積してきました。扱う流体の影響によるバルブのトラブルでお悩みの方、これから扱う流体に最適なバルブをお探しの方は、ぜひご相談ください。

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